旅とフルーツ

えーっと、世界一周してきます。。

張家界


2016/04/24  土曜日

改札を出た私は、目星を付けておいた安宿に向かうことにした。しかし、場所が分からない。道行く人に聞いてみても、そんな宿は聞いたことがないという。タクシーの運転手ですら、結果は同じだった。
張家界はそこそこ発展しており、知った店も多々ある。マクドナルドがあったのでWi-Fi目当てに入店するが、店員に中国語で何やら言われるだけだった。
途方に暮れるなか、近くを通りかかったおばちゃんが話し掛けてくれた。事情を説明すると、近くの建物を指差す。どうやら、その建物の3階でWi-Fiが使えるらしい。

おばちゃんに礼をいい、私はその建物へ急いだ。入り口が裏手にあり、怪しいなと感じながらも階段を上がる。途中、露出度の高い服装をした女性が階段から降りてきた。私を見るなり、ウインクをしてくる。ますます怪しい。3階に到着して、それはようやく判明した。風俗店だったのだ。幸いなことに、店内に入らずともWi-Fiが使えたので、店の入り口で調べものをする。気まずい雰囲気だったが、これで宿の場所は分かった。

探すのにヘトヘトで、私は歩いて行くを諦めた。バイクタクシーの運転手に場所を伝え、そこへ連れて行ってもらう。かなり分かりにくい所にある。そりゃ、現地の人も分からない訳だ。運転手でさえ、何度も迷っていたのだから。

部屋は4人部屋のドミトリーで、スペイン人男性が宿泊していた。シャワーを浴び、ベッドに入った。隣室の喘ぎ声が酷かったが、列車の疲れからか、私はすぐに眠りに落ちた。

翌朝、午前10時前に宿を出た。この日は、奇岩で有名な「武陵源」に向かうのだ。宿で行き方を記した地図をもらったが、コピー機の問題か、文字が薄くて読めない。人に聞いて、ようやくバス停に辿り着いた。ただ、ここでも時間をくってしまった。中国全土かは分からないが、ここのバスは手を挙げないと停まらないらしい。私の前を無情にも過ぎていくバスを見て、近くにいた人が代わりにバスを停めてくれた。朝から優しさを感じることができた。

バスは、国家森林公園に向かう。武陵源は広大で、とてもじゃないが1日では回れない。私はこの日、ひとつのルートに絞って楽しむことにした。
バスは40分程走ると川沿いの広い通りに出た。観光客が多いので、勘を働かせ、ここで降りることにした。そこから5分程、近くの山へ向かって歩くと、大きな入り口が見えてきた。勘は見事に当たっていた。パスポートを見せて、チケットを購入する。値段は245元と高めだが、2日間有効だそう。
チケットを見せ、ゲートをくぐると、バスが並んでいた。近くに停車していたバスに乗り、ハイキングコースの入口で降りる。入口からは武陵源特有の、その鋭利に削られた岩が姿を見せていた。

武陵源は映画「アバター」のモデルになったと言われている。映画に登場する自然の美しさに心奪われたが、現実の風景もまた美しく、眼に入る風景全てが非日常的で、随所に驚きをはらんでいた。

美しさが増すごとに、道も徐々に険しくなっていった。ハイキングコースは階段続きで、平坦な道はほとんどない。気温と湿度はともに高く、私は暑さに苦しめられた。たがこのこと以上に、観光客が多いことがなにより辛かった。内向的な私にとって、人が多い場所は気疲れするのだ。そのせいか、この絶景を心から楽しめないでいた。

午後5時頃、バス停についた。武陵源には6時間ほどいたことになる。
帰りのバスで、明日の予定を考えた。天候は良くないらしいが、別ルートは美しいと聞く。宿にいたスペイン人も、確かにそう言っていた。チケットも2日間有効である。しかし、私の心はすでに次の国に向いていた。


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張家界市   武陵源にて撮影